AGAとは

毛器官の疾患のひとつに数えられ、Androgenetic Alopeciaを略称した呼び名がAGAです。日本語では「男性型脱毛症」と言います。

AGAの症状

前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなる

多くは、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなっていきます。思春期を過ぎた頃から始まるとされ、個人差はありますが、放置が続けばそれらの部位は最終的には脱毛するようになります。なお女性でも発症することはあります。ただこの場合、頭頂部が広範囲で薄くなる等、男性型脱毛症とは症状が違うほか、更年期の頃から発症するなど、異なることが多いです。このようなことから、現在は女性型脱毛症と診断されます。

AGAの原因

発症メカニズムですが、男性ホルモンの一種であるテストテロンが5α還元酵素(5αリダクターゼ)と結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換します。このDHTが主に男性の頭頂部や前頭部にある毛包の受容体と結合することが多く、それら部位のヘアサイクルの成長期が短縮していきます。これによって濃くて太い毛に生え変わることが困難となって、細くて短い毛に生え変わっていきます。そして毛包は縮小し、軟毛化していきます。この状態を繰り返すことで、やがて脱毛していくのです。

AGAの治療方法

男性型脱毛症の基本的な治療法は薬物療法となります。この場合、主にDHTに変換するのに欠かせないとされる5αリダクターゼの働きを抑制させる効果がある5α還元酵素阻害薬を用います。

なお同薬は、フィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(サガーロ等)の2つがあります。この違いですが、そもそも5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型があります。原因の大半はⅡ型とされていますが、前者はⅡ型のみに有効で、後者はⅠ型とⅡ型の両方に効果があるとされています。ちなみに臨床試験では、デュタステリドの方がフィナステリドよりも1.6倍の発毛効果があるというデータがあります。どちらにしても1日1回の服用(一錠もしくは1カプセル)となります。

また、ミノキシジルを併用することもあります。ミノキシジルは血流拡張作用によって健康的な新しい発毛を促進します。ミノキシジルは内服薬と外用薬があり、当院では両方の処方を行っております。内服薬は、血中より毛球部分にある毛乳頭に作用し効果をあらわします。外用薬のミノキシジルは頭皮に直接塗布します。正しい用法・用量を守り、1日2回頭皮に直接塗布します。

副作用について

5α還元酵素阻害薬の副作用に関してですが、可能性としては決して高くはないものの、フィナステリドでは、性機能障害(性欲減退、勃起不全)や肝機能障害(だるさ、黄疸等の症状がみられる等)などの報告があります。上記以外では、倦怠感や抑うつ等の症状がみられることもあります。またデュタステリドでは、性機能障害(性欲減退、勃起不全)の症状をはじめ、精子の数や精液の量が減少したという報告もあります。そのほか、頭痛、発疹、乳房の女性化、肝機能障害、アレルギー症状などが現れたこともあります。

外用薬のミノキシジルにおいては、頭皮の発疹や皮膚炎など多くの外用薬にみられる症状が現れることがあります。また、めまいや頭痛、動悸、血圧低下といったものも報告されています。内服薬のミノキシジルにおいては、動悸やめまい、手足のむくみが起こる可能性があります。極めて稀だと考えられていますが、肝機能障害や心疾患が現れることもあります。